ビジネスモデルを”創る”事へのこだわり

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「食」に関連したビジネス、すでにいっぱいあります。
 
大きな括りで言うと、一次産業である農業や漁業、畜産業、二次産業である食品加工メーカー、三次産業である食品卸、小売り、ホテルや飲食店、などなど。ぐるなびやホットペッパーなど飲食店の情報を提供するメディアや飲食店に特化した人材派遣会社なども関連産業として考える事ができそうです。
 
いずれにしても、基本的には、顧客が「食べる」という行動を中心にした前後のプロセスの中で、人、モノ、金、情報に関係しています。
 
さらにこの「食べる」という行為を顧客のニーズを軸に「何を(なぜ)=シーン」「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」で細分化していくこともできます。
 
例えばピザのデリバリー会社が世の中に出現する事で、それまでお店でしか食べられなかったピザが家で食べられるようになりました。これは「どこで」の部分に変化をもたらす事でピザを食べる新たな「誰が=顧客」を生み出したのと同時に、プロモーションの力もあって、ピザがある事でホームパーティの楽しみ方(シーン)にも影響を与えたのでは、と思います。このピザ屋さんは飲食店であっても、普通の飲食店とは違いますよね。
 
生産者であっても、贈答品用に絞って高単価な野菜や果物を栽培し、それを独自のルートで販売しているケースもありますし、農業や漁業の生産現場と、観光を結び付けてビジネス化しているような事例もたくさんあります。これらは基本的に事業者による競争、差別化の結果です。
 
一方、最近ではSNSの浸透などもあり、自らの意見をどんどん発信する市民・消費者の存在があります。事業者側も顧客とより密接な関係性を築きつつ、協働で新たな価値を創造する「価値共創」の動きが広まっています。最終的には差別化的要素をもつのですが、事業としてだけでなく食文化としてとらえた時に、これまで以上に一般の方々がその形成に参画する可能性が高まったといえると思います。
 
そうした積極的な市民の存在や事業者間の競争の影響により、全体として日本の消費者には美味しいものや、新たな体験、文化との出会いのチャンスがあります。
 
でも、このシステムというか構造というか、には矛盾やほころびもいっぱいです。
 
食べることなくして人は生きていけないのに、一次産業に携わる労働人口は減っています。
機械化が進み、効率的になったので減少したのでしょうか?それとも給料が安いから?
 
夢のような空間とサービス、そしてスペシャルな料理を出すレストラン、はたから見ればおしゃれで素敵な職場かもしれませんが、今飲食業界は空前の人手不足です。ブラックのイメージがついている?人口が減少しているから?
 
食品ロスを山のように出す国の中で餓死者が出る。なんで?
 
すべての問題を解決する事は私には無理。でもちょっとでも何とかしたい。私の中の「ちょっと」とは地理的規模で言うといっぺんに「日本の問題」とかでなく、やはり「地域」がしっくりきます。
 
構造的な問題を何とかするためには一過性でなく、持続的に取り組める、何らかの仕組み=ビジネスモデルが必要だと思います。ビジネスモデルがあり継続しているという事は、何らか地域に良い影響を与え続けているはずで、それが地域活性化にばっちりとつながっていることが理想的です。
 
※ビジネスモデル= 企業や団体、個人などが売上や利益を生み出し持続的に活動できる仕組み
 という前提です
 
さらに、こうした問題は当然の事ながら地域によって違いがあったり、その地域ならではの課題を抱えているケースがあるでしょう。となれば、どこかで通用したビジネスモデルをそのまま当てはめる事は可能なのでしょうか?ある程度可能な部分もあると思いますが、やはり現地適合というか、その地域に合わせてカスタマイズする必要は絶対にあると思っていますし、そのためにはその地域でその仕事に携わる方々との協働が基本になるとも思っています。
 
つまり私は、食を通じた地域活性化にはビジネスモデルが必要であり、かつその地域に合わせてモデルを創造していく必要があると考えているんです!ちなみに頭の中だけで考える「想像」ではなく、実行までしっかりやりきるのが「創造」です!
 
グローバル企業も、その競争優位の源泉が、立脚するローカルにおける産業クラスター構造にあると指摘されています。そういう意味では、世界を舞台に戦おうとしていたって、地域が生き生きしているに越したことはないはずです。
 
クリエイティブに、ビジネスの手法を駆使しつつ地域の課題を少しでも解決させながら、お客さんにおいしいものを提供する。
 
Farm to office projectも南あわじのプロジェクトも、そしてこれから関わる全てのお仕事を貫く価値観として大切にしていきたいし私たちイガクリの本質的な仕事はそこだと思っています。
 
そのことで日本の豊かな食文化にちょっとだけでも厚みを加えることができれば最高です。